家庭用ルームエアコンには外機が1台で内機が2台が一般的です。中には5台ま販売していいたこともあります。
マルチエアコンとはどのようなエアコン?メリット・デメリットと併せて解説
エアコンにはさまざまな種類があり、取り付けたい場所によって適切なものを選ぶことで、効率よく冷暖房を使うことができます。
しかし、いくつもの部屋や場所にエアコンを設置していると室外機が増えてしまい、外観が損なわれるとお悩みの方も少なくないでしょう。
そこでおすすめなのがマルチエアコンです。今回はマルチエアコンの特徴をメリット・デメリットと併せてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
マルチエアコンとは
マルチエアコンは一般的なエアコンと何が違うのでしょうか。
・マルチエアコンとは?
マルチエアコンとは、1台の室外機で2台以上の室内機を運転できるエアコンのことです。一般的には最大で5台の室内機を稼働させることが可能で、室外機のサイズも通常のエアコンより大きくなります。
また冷暖房フリー仕様のマルチエアコンであれば、部屋ごとに冷房と暖房を分けて使うことができるため、非常に便利です。
・マルチエアコンの仕組み
通常のエアコンは室外機1台につき室内機が1台です。しかし、マルチエアコンは1台の室外機で複数台の室内機を稼働させるため、その分サイズや馬力が大きくなります。
・マルチエアコンと通常のエアコンの工事の違い
マルチエアコンと通常のエアコンの違いは室外機だけではありません。マルチエアコンの取り付けには、特殊な工事が必要になります。
<電源の工事>
通常のエアコンは、エアコン専用のコンセント1つで室外機と室内機の両方を稼働させることができます。しかし、マルチエアコンの電源は屋外専用の電源であることと、200Vであるという2つの条件を満たしていなくてはなりません。つまり、この条件を満たす電源がなければ設置は不可のため、取り付ける際には新たに屋外電源を設置するための工事が必要です。
<配管の工事>
室外機から複数台の室内機をつなげるために配管をします。これから家を建てる場合は配管を壁の中に隠すことができますが、そうでない場合は配管経路を確保しなくてはなりません。室内機の設置場所や台数によっては、室外機からつながる配管によって外壁の見栄えが悪くなる可能性もあります。
マルチエアコンのメリット・デメリット
マルチエアコンの導入を検討している場合は、メリット・デメリットを比較しましょう。
・メリット
<省スペースで設置できる>
マルチエアコンは室外機が1台で済むため、省スペースでの設置が可能です。通常のエアコンに比べて外観を損ねる心配がほとんどありません。
<効率よく運転できる>
マルチエアコンの場合、複数台ある室内機のうち、どれか1台が稼働していれば室外機が温まっている状態です。別の部屋のエアコンを稼働させるとすぐに冷風や温風が出てくるため、効率のよい運転と言えるでしょう。
<室内機の種類を自由に組み合わせられる>
エアコンの室内機は壁掛けタイプが一般的ですが、以下のような種類もあります。
- 天井埋め込みカセットタイプ
- 壁埋め込みタイプ
- 床置きタイプ
マルチエアコンは、目的や用途に合わせて室内機の種類を自由に組み合わせられるのが魅力です。リビングのように広いスペースには、「天井埋め込みカセットタイプ」を導入することで外気の影響を受けにくくなり、快適な室温を保ちやすくなります。また、リビングや和室などには、「床置きタイプ」の室内機を設置することで集中的に温めることが可能です。
<購入費用が安い>
マルチエアコンは室外機が1台だけなのでその分購入費用が安くなります。設置状況によっては室外機が少ないことで工事費用が安くなることも期待できるでしょう。
・デメリット
<複数のエアコンを稼働させると能力が低下する>
複数のエアコンを同時に稼働させると、通常のエアコンよりも効きが悪くなる傾向にあります。これは、一台の室外機で複数台の室内機に対応していることで負担がかかってしまっているためです。複数のエアコンを同時に使用する場合は注意しましょう。
<室外機が故障すると複数のエアコンが使えない>
マルチエアコンの場合、室外機が故障すると、つながっているすべてのエアコンが使えなくなってしまいます。すべての室内機を1台の室外機で稼働させているがゆえに当然のことではありますが、このような事態が真夏や真冬に起こると命に関わるため、よく検討しましょう。
<故障時に買い替えるとコストが高い>
室外機が故障して買い換える場合、同時にすべての室内機を交換するケースも珍しくありません。この場合、エアコンの買い替えだけでなく取り外し工事や設置工事も必要になります。買い替え時には、まとまった額の出費がかかることを覚えておきましょう。
<電気や配管の工事が必要>
先程も紹介しましたが、マルチエアコンは通常のエアコンにはない電気・配管の工事が必要です。取り付けには時間や費用がかかるだけでなく、外観にも影響します。事前にマルチエアコンの電源の特徴や配管経路などを確認しておきましょう。
<環境負荷が大きい>
マルチエアコンは通常のエアコンに比べて環境への負荷が大きくなります。省エネ基準達成率で比較すると、マルチエアコンは100〜107%程度であるのに対し、通常のエアコンは110〜140%程度です。
<光熱費がかかる>
マルチエアコンは省エネ性が低いため、その分光熱費が高くなります。エアコンの使用環境や利用頻度などにもよりますが、マルチエアコンは電気代が高いということをあらかじめ承知しておきましょう。
マルチエアコンの注意点
マルチエアコンの設置には3つの注意点があります。
・新しく設置する場合
新築やリフォームなどでこれから新しくマルチエアコンを設置する場合は、あらかじめ設置したい室内機の台数と種類を決めておきましょう。一般的には1台の室外機に最大5台のエアコンを取り付けることが可能です。ただし、それよりも取り付け可能な数が少ない製品もあるため、場合によっては室外機が複数台必要になる可能性もあります。
また、マルチエアコンの設置には専門業者による現地調査が欠かせません。設置の可否を判断するためのチェックポイントは以下の通りです。
- 取り付けする部屋の間取りや寸法
- 使用の目的や環境設備
- 室外機と室内機の距離や配管経路
- エアコンの搬出経路
専門家に調査を行ってもらうと、費用の概算を把握することができます。現地調査を行う場合は、マルチエアコンについての疑問やおすすめの製品などについても尋ねてみましょう。
・買い替えや交換する場合
すでにマルチエアコンを使っている場合はそれほど手間や時間、費用がかかりません。しかし、配管がひどく汚れている場合や破損している場合は、洗浄作業や取り換え作業が必要です。
・マルチエアコンの室内機は増設できる?
マルチエアコンの室内機は増設することが可能です。しかし、室内機のスペックが十分であることや互換性があることが条件です。
まとめ
マルチエアコンは1台の室外機で複数のエアコンを稼働できるため、室外機の設置スペースにお困りの方にはとても魅力的です。しかし、導入時の工事には時間や費用がかかり、故障時にはすべてのエアコンが使えなくなるというリスクもあります。マルチエアコンの購入を検討している方は、まずは専門家に相談しましょう。